こんにちは!データサイエンティストの青木和也(https://twitter.com/kaizen_oni)です!
今回の記事では、ChatGPTのハウツー本や大規模言語モデルの本などを5冊ほど読んできた私が、ChatGPT初学者におすすめな「面倒なことはChatGPTにやらせよう」を読んでみて認識が変わってことについて述べていきたいと思います!
正直、本書は「自身がデータサイエンスやChatGPTについてどれだけ知っているか」でおすすめ度合いが変わってきますので、本書購入前にぜひ一読いただけると幸いです!
本書の概要
本書はAIエンジニアのカレーちゃんと東京大学松尾研所属データサイエンティストのからあげさんが執筆したChatGPTに関するハウツーを紹介してくれる書籍で、ChatGPTの入門書的な位置付けです。
効果的な使い方のみならずChatGPTの注意点(ハルシネーションやセキュリティ)についても記載されているため、「ChatGPTを上手く使いこなせている自信がない」「ChatGPTに使い馴染みがない」「ChatGPT Plusの社員への付与について検討しているが、いまいちChatGPTに何ができるのかピンときていない」というGPTビギナーの方におすすめの1冊となっています。
かくいう僕も敬愛するデータサイエンティストのTJOさんが2024年版:独断と偏見で選ぶ、データ分析職の方々にお薦めしたいホットトピックス&定番の書籍リストにて当書籍を紹介していたため、手に取り読んでみた次第です。
本書をおすすめできる人
本書をおすすめできる人は書籍の一部を抜粋すると、以下のような方々です。
- 仕事や日常生活のタスクの自動化、省力化をしたい方
- ChatGPTに興味がある方、すでに使っている方
- 機械学習・AIを学びたい初学者〜中級者
TJOさんもご指摘しているように、本書が他のChatGPT本と違うところは、ChatGPT上で特定のプログラムを実行するために適宜必要なライブラリのファイル等を渡しながら、ChatGPTにお仕事を依頼している点です。
今までのChatGPT本はどちらかというとプロンプトエンジニアリング(どのような命令を与えるとChatGPTが良い望ましい回答を返してくれるかというテクニック)について話に終始する本が多かったのですが、本書は「ChatGPTで何ができるのか」というWhatの部分にフォーカスしている点が素晴らしいといえます。
本書をおすすめできない人
逆にいえば以下のような方にはおすすめできません。
- Pythonを使った自動化にすでに業務で取り組んでいる方
- Pythonを使ったデータ加工・可視化・分析がすでにできる方
すでにPythonを使ったデータ加工・可視化・分析ができる方については、「読むだけ無駄!」というわけではないのですが、ChatGPTを使って行うデータサイエンス的なトピックのほとんどが実践Data Scienceシリーズ ゼロからはじめるデータサイエンス入門 R・Python一挙両得で学習できる内容かと思われますので、本書をわざわざ手に取らずとも、「ChatGPTくん、これはできるかな?」という探索を少しすれば分かるレベルの内容です。
Pythonを使った自動化にすでに業務で取り組まれている方も、すでにご自身でデータ加工やバッチ処理のためのPythonプログラムを書ける状態かと思います。
「この処理の内容ってChatGPTで実現できるかな?」「こういうバッチ処理の内容をChatGPTに書いて欲しいな」という指示出しができるのであれば本書を手に取るまでもないかと思われます。
本書全体の構成
本書は以下のような構成となっています。
- 知っておきたいChatGPTの基本
- ChatGPTが使える日常テクニック
- ChatGPTでのデータサイエンス
- ChatGPTのさらに便利な応用テクニック
それぞれの章ごとで学べる内容はChatGPTにできること・できないことを外観する上では非常に有用です。
特に、「日本語でChatGPTが得意とする領域の指示を出せば作業を実行してくれる」という大規模言語モデルの強みと「Advanced Data AnalysisというChatGPT内のプログラム実行環境のおかげでタスク実行の精度が高い」というGPT4の利点を実感するには適していると考えています。
本書から得た気づき
私はすでに業務の中で自動化等をゴリゴリに進めている、かつデータ分析については一定以上の知見を持っているので、多くの知見を得られたわけではないのですが、本書を読んで改めて気づいたことがあります。
それは、「これという決まったタスクを実行させるのも良いが、人やタイミングによって答えが変わるような確率的挙動を取る事柄はChatGPTに考えさせるのが断然良い」ということです。
例えば、企画案などを考えるときは、さまざまなバックグラウンドを持ったメンバーが十人十色の意見を出して、その中からより良いものを決めていくようになるかと思います。
このように、提出される「アイデア」は人によって違えば、今朝見たものにアイデアが影響されている可能性もあるので、日によっても異なるかも知れません。
つまり、提出されるアイデアの中に絶対的な正解はないはずなのです。
このような「人やタイミングによって異なりうる、正解がないアイデアや案」を出してもらうには、さまざまなリソースから多くのことを学んでいる、かつその時その時に何が出力されるのかは確率的に決定されるので分からないChatGPTの方が優れているのでは、と再認識した次第です。
まとめ
今回はChatGPT初学者におすすめの「面倒なことはChatGPTにやらせよう」について紹介いたしました。
一定程度データサイエンスやプロンプトエンジニアリング、Pythonでの業務自動化について知見のある人にとっては多くの学びが得られる本とは正直言い難いです。
一方で、ChatGPT初学者にとってはこの1冊でChatGPTにできうることは網羅できるので、あとは実践あるのみの段階まで一気に引き上げてくれる1冊と言えます。
本書の購入を検討されている方は、ぜひ自身の位置付けを確認しつつ、本書から得られるものがあるぞ自分には!という思う方はぜひ購入されることをおすすめいたします!
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