
こんにちは!データサイエンティストの青木和也(https://twitter.com/kaizen_oni)です!
今回は書籍 『なぜ人と組織は変われないのか』 を読んで得た学びを3つご紹介いたします。
私は 研修という手段を通じて、組織の変革を支援する仕事 をしています。
そのため、研修を通じて 「人は本当に変わることができるのか?」「組織の在り方を変えるには何が必要なのか?」 というのは真に関心があるトピックです。
本書は、変革がうまく進まない理由を 「免疫マップ」 という概念を用いて説明し、その乗り越え方について具体的な手法を提示しています。
この記事では、本書から学んだ重要なポイントを3つ に整理し、どのように人と組織の変革が可能なのかを考えていきます。
本書の概要
本書では、「変わりたいのに変われない」原因は、個人や組織に存在する「心理的な免疫システム」にある と説いています。
これは 「無意識に変化を拒むメカニズム」 であり、新しい行動を阻害する要因となっています。
本書の章立ては以下の通りです。
- 第1部 “変われない”本当の理由
- 第1章 人の知性に関する新事実
- 第2章 問題をあぶり出す免疫マップ
- 第3章 組織の「不安」に向き合う
- 第2部 変革に成功した人たち
- 第4章 さまざまな組織が抱える悩み―集団レベルの変革物語
- 第5章 なぜ部下に任せられないのか?―個人レベルの変革物語①
- 第6章 自分をおさえることができるか?―個人レベルの変革物語②
- 第7章 うまくコミュニケーションが取れないチーム―集団を変革するために、個人レベルで自己変革に取り組む物語
- 第3部 変革を実践するプロセス
- 第8章 変わるために必要な3つの要素
- 第9章 診断―「変われない原因」を突き止める
- 第10章 克服―新しい知性を手に入れる
- 第11章 組織を変える
[本書読了前]本書から学びたいこと
本書を読む前に、私が本書から学びたかったことは以下の3つです。
- なぜ人と組織は変われないのか、その根本的理由
- 組織が変わるために、組織内部の人間にできることは何か
- 私自身が変わるために、私にできることは何か
私は研修という手段を通じて、組織を変革するお手伝いをしているので、研修によって人を変えるためにはどうすればいいのか、研修の究極の目的である組織のあり方が変わるためにはどうすればいいのかについて本書から学びを得たいと考えて、本書を読みました。
本書から得た学び
私が本書から得た学びは以下の3つです。
- なぜ人は目標を達成できないのか? – 免疫マップの仕組み
- 固定概念の検証 – それは本当に正しいのか?
- 知性の広がり – 自己主導型から自己変容型へ
順を追って解説していきます。
なぜ人は目標を達成できないのか? – 免疫マップの仕組み

本書では、人が目標を達成できない理由として 「心理的な免疫システム」 の存在を指摘しています。
これは、「変わりたい」という意識とは裏腹に、無意識のうちに変化を拒むメカニズム のことです。
たとえば、
- 「もっと積極的に発言しよう」と思うが、実際には遠慮してしまう
- 「健康のために運動しよう」と決めたのに、継続できない
こうした状況の裏には、「変わらない方が安全である」 という潜在的な意識が働いている可能性があります。
本書では、これを 「裏の目標」 と呼びます。
たとえば、
- 「発言して評価を下げたくない」(だから発言しない)
- 「努力した結果、失敗したくない」(だから挑戦しない)
この 「裏の目標」 が無意識に行動を制限し、結果として変革を妨げているのです。
本書では、この 「免疫システム」 を克服するための第一歩として、
「自分が本当に守りたいもの(裏の目標)を言語化する」 ことが重要だと述べています。
まず、
「目標に向かえない理由を書き出す」 → 「その理由がどんな恐れや固定概念に基づいているかを考える」
というプロセスを通じて、自分の無意識のブレーキに気づくことが大切です。
ちなみに、以下の図は私自身の心理的な免疫システムを免疫マップとして、
- 改善目標
- 改善目標を阻害している行動
- 阻害行動を後ろ支えしている裏の目標(とその根源である不安ボックス)
を書き出したものです。

固定概念の検証 – それは本当に正しいのか?

変革を妨げる要因の一つに、「固定概念」 の存在があります。
これは、「これが正しい」という思い込み によって、新しい考え方や行動を拒んでしまうことを指します。
たとえば、
- 「このやり方で成功してきたから、これが正解だ」
- 「上司の意見には従うべきだ」
- 「新しい手法を試しても、結局はうまくいかない」
こうした考えがあると、新しいアプローチを試すことが難しくなります。
固定概念を崩す方法
本書では、固定概念を乗り越えるために、次のようなステップを推奨しています。
1. どのような実験を行えば、固定概念が正しいことを検証できるのか考える
→ 固定概念をむやみに否定するのではなく、「どんなことが分かれば固定概念が正しくないと分かるのか」を考えます
2. 固定概念が本当に正しいのかを検証する
→ 実際に行動をしてみて、その時の相手の反応や自分の心の動きを観察します
3. 得られた実験結果をもとに、自分の考えをアップデートしてみる
→ 得られた実験結果から、当初抱いていた固定概念が正しいのかを再度確認し、正しくないのであれば自分の考えをアップデートします
たとえば、「この方法が最適だ」と思っていることを 否定するも肯定するもなく、まずは検証してみる ことで、「思っていたほど根拠がなかった」 という気づきを得られることもあります。
変革の第一歩は、「自分の固定概念に疑問を持つこと」 なのです。
以下の図は、学び1「なぜ人は目標を達成できないのか? – 免疫マップの仕組み」で登場した免疫マップに、裏の目標を支えている「強力な固定概念」を追記したものです。

知性の広がり – 自己主導型から自己変容型へ

本書では、知性には3つの段階があると述べています。
- 環境順応型知性 – 既存の環境に適応し、ルールを守る知性
- 自己主導型知性 – 自分で考え、行動する知性
- 自己変容型知性 – 自身の価値基準を客観的に捉え、複数の価値観を統合する知性
多くの人は、最初は 「環境順応型」 からスタートします。
しかし、知性のレベルが上がるにつれて当然のことながら取りうる行動が変化していくため、個人・組織として進化していくためには、「環境順応型」から「自己主導型」へ、「自己主導型」から「自己変容型」へ移行することが重要 だと本書は説いています。
それでは、最終的なゴールである「自己変容型」に辿り着くためにはどうすれば良いのか?
その答えのうちの1つが、免疫マップなのです。
「免疫マップを作り、固定概念の妥当性を検討すること」は、現在の自分の置かれている状況を、免疫マップという枠組みを通して、上空から眺めることに他なりません。
- 「そうか、自分の目標が達成できないのは裏にそんな目標があるからなんだな」
- 「なるほど、あの固定概念が強く裏の目標に影響を及ぼしているのか」
- 「ただ、その固定概念は本当に正しいのかな?」
こうした俯瞰的な営みを通して、人は「自己主導型」から「自己変容型」へと移行していく、というのが本書の主張です。
まとめ:本書を読んで今後実践したいこと
今回は書籍 『なぜ人と組織は変われないのか』 を読んで得た学びを3つご紹介してきました。
本書を通じて、
- 変革を阻む「免疫マップ」の仕組みを理解できた
- 「固定概念」を崩すためには、疑問を持ち、他者の視点を取り入れることが重要
- 「自己変容型知性」を育むためには、免疫マップを通じて自己を俯瞰的に見る
変革には 「思い込みを崩し、新しい視点を持つこと」 が不可欠です。
本書の学びを活かし、今後も変革を実践していきたいと思います。
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