こんにちは!データサイエンティストの青木和也(https://twitter.com/kaizen_oni)です!
今回の記事では、様々な論客が様々なトピックでヒートアップすることでお馴染みの『ABEMA Prime』の名ファシリテーター平石直之さんが書かれた『超ファシリテーション力』について、私が得た学びを3つ厳選してご紹介したいと思います。
本書はファシリテーターのみならず、「会議が平行線でなかなか進まない」「顧客との会議の際に思うように伝えたいことを伝えられない」というような参加者としても会議をより良くしたいとお考えの方にもおすすめの1冊となっています!
本記事を読んで、ぜひ本書購入のご参考としていただけると幸いです!
本書の概要
私がたどり着いたファシリテーションのノウハウは、議論を有意義なものにするだけではなく、会議やミーティングの枠を超えて、メンバー間のコミュニケーションを深めるのに役立ったり、やる気を引き出したり、チームの一体感を醸成できることも分かってきました。
平石直之『超ファシリテーション力』(アスコム/2021) P133
本書は、『ABEMA Prime』という様々な論客が様々なトークテーマについて議論する番組のファシリテーターをしている平石さんが書かれた、ファシリテーション術について書かれた1冊です。
本書を読むまでは「ファシリテーターって会議をうまいこと回す、口が上手い人でしょう?」くらいの認識だったのですが、本書を読むと「ファシリテーターは新規クライアントの提案でもバチバチに作り込みつつ、会議を通じて顧客の真のニーズを引き出す優秀コンサルタントみたいだな…」と認識を180度変わる思いがしました。
そのような、漠然とした「ファシリテーターとして必要なスキル」を
- 準備力
- 聞く力
- 場を作る力
の3つの力に平石さん流の経験則で分解した上で、それぞれの力をどのように発揮するのかと、それ以外の会議を円滑に進めるための方法論について語られているのが本書になります。
本書の章立ては以下のとおりです。
- 第1章: ファシリテーターの心得
- 第2章: 話し合いを円滑に進めるコツ
- 第3章: ファシリテーションは準備が9割
- 第4章: 即使える!キラーフレーズ集
特に、会議のような「短時間に様々な人の思惑・意見がぶつかり合うような場」を円滑に進めるためには、本書は人のそれぞれの機微からテクニック的な内容まで網羅しているので、そのような役回りをすることが多い・求められる方には必見の1冊です。
本書から得た学び
本書から得た学びは以下の3つです。
- 会議の趣旨を見失いやすい時は「論点のツリー」を意識する
- 会議で考えがまとまっていない時の枕言葉
- 相手の意見は反論せずに、反対意見をやんわり提示する
順を追って解説していきます。
会議の趣旨を見失いやすい時は「論点のツリー」を意識する
「いま議論すべき階層」をつねに意識することで、仮に思わぬ方向に議論が進んでも、自信を持って軌道修正することができるはずです。
平石直之『超ファシリテーション力』(アスコム/2021) P133
皆さんは「だんだんと話が脱線しているな」という会議に遭遇したことはないでしょうか?
特に、会議の主題が「DX」のような抽象的な話であった場合には、「DXを推進するための人材採用が急務だ」のように採用視点の話になったかと思えば、「DX推進のためにはそもそもデータ分析などを行うためのデータ基盤が必要なのではないか」などの社内インフラの話になったりと、議論が右往左往することがあるかと思います。
そのような議論があっちこっちに行くような状況においては、「議論すべき階層」についてファシリテーターないし参加者が認識する必要がある、というのが本書の主張です。
つまり、今日の会議の目標が「DXに向けた人材育成戦略」という人材視点での話であるのであれば、「DXを推進するためにはそもそもデータ基盤整備が必要なのではないか」という論点は、「DX」から派生した今日の議論とは異なる論点であることを認識した上で、「確かにその論点もありますが、今日は人材視点でのお話ですので、その論点については別の機会を設けてお話ししましょう」のように会話の主論点を意識する必要がある、というお話しです。
ともすれば、私はどちらかというと「論点の脱線」が起きてしまいがちな人間ですし、お客様と会話をしている際にも、お客様側の「論点」に引っ張られてしまいがちなので、会議で意見を表明する際には、「自身の意見は会議の論点に沿っているか」「お客様の提示した意見は論点に沿っているか」を意識しようという学びを本書から得ました。
会議で考えがまとまっていない時の枕言葉
皆さんは、会議の際に突然「XXさんはどう思いますか?」と振られたことはないでしょうか?
咄嗟に答えた内容が的を得ていないことを言ってしまい、後から「なんであんなことを言ってしまったんだ」と、咄嗟の答えの芯の食っていなさに後悔したことはないでしょうか。
議題に対して明確な主張があるのであれば、「実は…」という形で意見を表明すればいいと思いますが、何と言っても困るのは現在の議題については特に意見がない時。
そのような時に使える枕詞として、以下の3つが本書では紹介されています。
- 「私の中でもまだ充分には考えがまとまっていないのですが—」
- 「現時点で私がもっとも関心を持っているのは—」
- 「みなさんのご意見をうかがって、少しずつこう考えるようになってきましたが—」
これらの枕詞は、議論から強引に逃げるような言葉でもなければ、自信がない意見で強硬に乗り切ろうという言葉でもありません。
自身の考えの不十分さ、周囲の話への関心を示した上で、それとなく自身の意見についても述べる、という謙虚な姿勢の現れの言葉と捉えることができます。
答えに窮した時に、なんとか頭をフル回転してそれらしい答えを出すのではなく、考えられていないなりの気遣いのし方がある、ということを本書から学びました。
相手の意見は反論せずに、反対意見をやんわり提示する
相手の意見をしっかりと聞いている姿勢を示したうえで、「なるほど、その点はたしかにおっしゃる通りですね」とそこまでの流れを着地させて、そのうえで「一方でこういう意見もありそうですが…」とつなげたり、「それでは、こういう反論があった場合はどうお考えでしょうか」などと展開していけば、言われた相手もさほど気分を害することなく、議論を深める方向に進めることができます。
平石直之『超ファシリテーション力』(アスコム/2021) P90
皆さんは、「顧客から出てきた意見について、同意しかねるが、なかなか反論するのも難しい」という状況に遭遇したことはないでしょうか。
そういった場合について、本書では「受け止めた上での別視点の提示」という形で乗り切りましょう、と紹介をしています。
逆にイメージすると、なんでもかんでも「いや」が語頭につくような「真っ先に否定人間」は避けた方がいいのはお分かりいただけるかと思います。
一方で、顧客の意見を何でもかんでも肯定して、自社のタスクを抱え込むのも社会人としては考えものです(私がその典型です)。
そのため、あくまで「自分からの反論」というスタンスではなく「一般的に考えられる別の視点」のような形で意見を提示することが重要である、ということを本書から学びました。
まとめ
今回の記事では、様々な論客が様々なトピックでヒートアップすることでお馴染みの『ABEMA Prime』の名ファシリテーター平石直之さんが書かれた『超ファシリテーション力』について、私が得た学びを3つご紹介させていただきました。
今回私が紹介した内容は、本書のエッセンスのほんの一部で、本書にはさらに多くの会議を円滑に進めるためのテクニックや根本的な考え方・捉え方が掲載されていますので、興味を持った方はぜひ本書を手に取っていただけると幸いです!
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